東洋医学

【漢方薬剤師が解説】東洋医学で知るわたしの体質

ゆまま|薬剤師

子育てをしていると、どうしても自分のことは後回しになりがち。
「なんとなく疲れてるけど、やることが多くて休めない」
「イライラしてしまうのは子どもが言うことを聞かないから」……。
そんなふうに、体や心の不調を見過ごしていませんか?

私自身、6歳と3歳の子を育てる母ですが、ほんの数年前まで生理不順や不正出血などさまざまなトラブルを抱えていました。それでも、別に動けないわけではないし、幼い子どもを連れて病院になんて行けない。
体からのSOSサインを無視して過ごしていました。

そんなときに偶然出会ったのが「東洋医学」です。
自分の体質を知り、漢方を取り入れながらセルフケアを続けることで、少しずつ体が整っていき、今では大きく体調を崩すことがほとんどなくなりました。

この記事では、私が実際に助けられた東洋医学の基本的な考え方をできるだけわかりやすくご紹介します。
また、あなた自身の体質が簡単にわかるセルフチェックもご用意しました。

毎日頑張っているママたちにとって、自分の体と心をいたわるきっかけになれば嬉しいです。

東洋医学ってなに?

東洋医学とは、何千年も前から中国を中心に発展してきた伝統的な医療の考え方です。

西洋医学では、たとえば「風邪=ウイルスをやっつける」「貧血=鉄分を補う」といったように、病気や症状の原因を特定して治療していきます。[1]
一方、東洋医学では、「体全体のバランス」や「その人が本来もっている力(自然治癒力)」に注目して、元の状態に戻していきます。[1]

このように、西洋医学と東洋医学では、病気へのアプローチ方法が全く異なるのです。

「西洋医学は木を見て森を見ず。東洋医学は森を見て木を見ず」という表現もあります。

「ちょっと疲れやすいな」「気分が落ち込みがち」「生理が乱れがち」
ーそんな“病院に行くほどじゃないけど気になる”不調こそ、東洋医学が得意とする分野です。

まずは、体質をとらえる際に重要な考え方の一つ、「気・血・水(き・けつ・すい)」について理解していきましょう。

「気・血・水」ってどんなもの?

東洋医学では、私たちの体は「気・血・水」の3つの要素によって生命が維持されていると考えます。[1]
この3つがバランスよく巡っていると、体も心も元気でいられる状態です。
一方、どれかが不足したり、流れが滞ったりすると、不調やトラブルが起こりやすくなるとされています。

では、それぞれはどんな働きをしているのでしょうか?

気:エネルギー

目には見えないけれど、私たちの体を動かすエネルギー源です。[1]
元気ややる気、免疫力などに関係していて、「気」が不足すると、疲れやすくなったり、やる気が出なくなったりします。

血:体を養う血液

血管の中を流れていて、全身に栄養を運ぶ役割を持った赤い液体です。[1]
私たちの知っている血液とよく似ていますが、実際には別モノ。東洋医学での血は、メンタルの安定にも関わっています。[1]

水:体を潤す水分

血以外の液体を指し、「津液(しんえき)」と呼ばれることもあります。[1]
熱くなりすぎたものを冷やし、乾いたところを潤すはたらきをしています。

あなたはどのタイプ?体質セルフチェック

東洋医学では、不調の原因を「体質」と結びつけて説明します。自分に合ったセルフケアを知るためにも、体質チェックは欠かせません。

なかでも「気・血・水」のバランスに基づいた分類はシンプルでわかりやすく、東洋医学の現場でもよく用いられています。
まずは簡単なチェックリストで、あなたの体質タイプを見てみましょう。

次からの項目において、より多くチェックが入ったものが今のあなたの体質です。

気虚タイプ

気が足りず、エネルギー不足の状態です。[2]

◻︎疲れやすく体力がない
◻︎風邪をひきやすい
◻︎手先や足先が冷たい
◻︎胃腸が弱く、もたれやすい
◻︎軟便、下痢をしやすい
◻︎やる気が出にくい
◻︎食後の眠気がある

気滞タイプ

気の流れが滞っている状態です。[2]

◻︎不安や憂鬱を感じやすい
◻︎イライラしやすい
◻︎喉に詰まったような感覚がある
◻︎お腹や脇腹が張りやすい
◻︎ゲップやおならが出やすい
◻︎頭痛や肩こりが多い
◻︎ため息をよくつく

血虚タイプ

血液が不足している状態です。[2]

◻︎肌が乾燥しやすい
◻︎髪にツヤがなく、抜けやすい
◻︎眠りが浅い
◻︎手足が冷えやすい
◻︎不安や動悸を感じやすい
◻︎目が疲れやすい、かすむ
◻︎月経血が少なめ

瘀血タイプ

血液の流れが滞っている状態です。[2]

◻︎シミやクマが多い
◻︎顔色がくすみやすい
◻︎肩こりや関節の痛みがある
◻︎あざになりやすい
◻︎便秘がち
◻︎月経痛がある
◻︎月経血に塊がある

陰虚タイプ

水が不足していて潤いがない状態です。[2]

◻︎手足がほてりやすい
◻︎のぼせやすい
◻︎肌や髪が乾燥しやすい
◻︎便が固め、コロコロ便
◻︎尿量が少ない
◻︎口や喉が乾きやすい
◻︎寝汗をよくかく

痰湿タイプ

水の流れが滞って、老廃物が生じている状態です。[2]

◻︎めまいや立ちくらみが多い
◻︎むくみやすい
◻︎鼻水または痰が出る
◻︎体が重だるい
◻︎ニキビや吹き出物ができやすい
◻︎吐き気や胃のむかつきが多い
◻︎月経のときに腰が重だるい

まとめ:​​自分を知って、いたわることからはじめよう

東洋医学の「気・血・水」や体質の考え方を知ることで、今の自分の状態に気づき、セルフケアのヒントが見えてきます。
まずは「今の自分って、どんな状態なんだろう?」とやさしく見つめてあげることが、セルフケアの第一歩です。

ママが元気でご機嫌でいることは、家族にとって何よりも大切なこと。
毎日頑張り続けているママだからこそ、自分を大切にする時間を少しずつ増やしていきましょう。

「ゆままの子育てヘルスノート」では、これからも子育て中のママが自分らしく、体と心を整えていけるような情報を発信していきます。次回は体質別のセルフケアについてお伝えします。
一緒に、自分をいたわる習慣をはじめてみませんか?

参考資料

[1]2021年、株式会社じほう、川添和義、生薬の働きから読み解く図解 漢方処方のトリセツ 第2版、p3〜4、10〜15

[2]2024年、株式会社エクスナレッジ、島田和美、顔を見て不調を整える 漢方式セルフケア 体とこころのトリセツ、p44〜47

ABOUT ME
ゆまま(山川裕子)
ゆまま(山川裕子)
薬剤師ライター
大学病院や調剤薬局での勤務経験あり。出産後、日々のセルフケアの大切さを実感したことから東洋医学の学びを深め、漢方薬剤師になる。6歳と3歳の子どもを育てるママ。 医療・健康・子育て分野を中心に、記事執筆やSNS運用サポートを行っています。 お仕事のご依頼は「お問い合わせ」よりお気軽にご連絡ください。
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